伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様-法人研修インタビュー

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

AIビジネス推進部 AI・Digitalアナリティクス課 山近 様(左)
金融開発1部SIビジネス推進課 福永 様(右)

御社の経営理念や事業について簡単にご説明お願いします

山近 様:当社は、伊藤忠商事のグループ会社のシステムインテグレーター で約7,000名のエンジニアが在籍しています。

CTCグループの企業理念は「スローガン」、「使命」、「価値観」、「私たちの心得」の4つで構成されています。詳しくは、Webサイト(https://www.ctc-g.co.jp/)に記載しています。

研修に興味を持ったきっかけは何ですか?

山近 様:もともと2019年の上期に当社の中でAI分野のレベルアップを図るべく、AIビジネス推進部を中心に全社で選抜したエンジニア約40名向けに教育実施しておりました。

上期の社内研修である程度の成果が出たため、このまま研修を終わらせてしまうのはもったいないと考え、引き続き教育を継続して、日本ディープラーニング協会のE資格取得を目指すことに決めたのがきっかけです。

最終的に当社に決めた理由は何ですか?比較検討されましたか?

山近 様:日本ディープラーニング協会(JDLA)のE資格について調べたところ、E資格を受講するためにはJDLAから認定されている講座を受講する必要があることがわかり、認定されている講座の中でどの講座を受講するべきか検討しました。

社内ではe-learning系で教育するか、対面形式の研修にするかの2択になりましたが、全員がe-learningで受講するとなるとバラバラに学習することになり、メンバーのコラボレーションが生まれないことに懸念がありました。個人的には対面で行うことの意義を重視したいという思いもありましたので、最終的に、経験豊富な現役の実務家(AIエンジニアやコンサルタント)が研修の講師を行っているAIジョブカレにお願いしようという結果になりました。

どういった活用を期待されていましたか?

福永 様:私は金融システム事業部に所属しているのですが、お客様を訪問するとAIでどういったことができるのかとか、機械学習やディープラーニングはどこまでできるのかとか、そういった話が始まっています。

我々は、これまで製品やインフラの販売に注力してきたこともあり、お客様にAIに詳しい者もいる企業だということをまだ十分に認知されていない状況です。その流れをひっくり返すべく、まずは分かりやすくJDLAのE資格を取得することを目標に据えました。私自身はプレーヤーというよりマネジメント志向なので、自身が研修で学んだことをチームに共有しながら新しいソリューションをチームで推進していければと考えています。

印象に残っている部分は他に何かありますか?

福永 様:私はリスク管理システムを10年ほど担当していたので、統計等の知見はそれなりにあり、回帰分析や主成分分析はすぐ理解できました。一方で、深層学習の本題に入ると、ハイパーパラメーターチューニングはすごく地道なものだということを痛感しました。

しかし、講義を受ける中で深層学習には従来の機械学習における特徴量設計とはまたちょっと違う魅力があって、データやハイパーパラメータの変更がどういう結果に繋がるかが講義で見えてきて、そこが印象的でした。個人的に、特に面白かったのは後半の強化学習でした。講師の具体的な話に、非常に引き込まれました。
 
 
山近 様:研修で学ぶにつれて、実務でどのようにディープラーニングが使われているのかを初めてきちんとした形で理解ができました。

いままでは前任者が作成したプログラムをよく理解せずそのまま使ってしまうことが多かったのですが、自分で理解して書き換えることができるようになる等、応用が効くようになったと実感しました。

もともとはE資格のために受講していたのですが、それとは別で、よりディープラーニングに関する知識が深くなっていきました。

実際に研修を受けてみた率直な感想はいかがですか?

山近 様:実際に研修を受講した社員からは、実務で使われるケースや今ではあまり使われないケースなど実務事例を交えて講義が進んでいき、勉強になったというような声が上がりました。

例えば、ディープラーニングを改良したいときに、いきなりモデルを変えようとする人がいるが、それよりも正則化の方が有効なケースが多いなどといった事例や、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)で使用しているGRU(Gated Recurrent Unit)は、歴史的には大事なので試験でもよく問われますが、現在の実務上ではほぼ使われていないなど、参考になる講義でした。

また、試験対策としての知識とは別に、ここも併せて押さえておくと実務で役に立つなどを毎回講義してくれたところが頼もしいと思いました。

※注GRU(Gated Recurrent Unit)は、LSTMが歴史的経緯から様々なパーツを追加して作られたものであるのに対し、それを思い切って簡略化したモデルの代表例である。また、メモリセルをなくして忘却ゲートと入力ゲートを合体したモデルである。

実務の面で研修後の変化はありましたか?

福永 様:当初、深層学習はとっつきにくいなと思っていたのですが、自分でもなんとかできそうだと思えるようになったことは大きな変化ですね。
 
 
山近 様:私は当社のお客様にPythonや機械学習などを教える機会もあるのですが、そういったときに今回E資格を取得したことでより説得性のある説明ができるようになったと思います。

E資格受験の手ごたえや、研修の内容は役に立ちましたか?

福永 様:試験を受ける前は事前に示された例題のようなものが本当に出るのかと不安でした。でも、実際に試験会場で問題を見始めたときに「あ、勝ったな」と思いました。試験時間中に自己採点して合格を確信しました。

勝因については、チームとして取り組めたことがかなり良かったです。ここの部分は試験で出そうだとか、試験では出ないかもしれないけど、この部分って今後使えそうだとか、色んな部署の方とコラボレーションできたところが良かったです。研修で使ったslackはものすごく活用させていただいて、今までより密にコミュニケーションが取れました。
 
 
山近 様:E資格を受験するにあたり、他の企業勤めの方も同様だと思いますが、目の前の自身の仕事がある中で試験勉強に充てられる時間をあまり確保できないという事情がありました。市販の参考書もありましたが、最終的には講師の講義資料を信じて試験勉強を行いました。

その時に、本当にこの資料を信じていいのかなと少し不安にもなりましたが、試験を受けた後で講義資料はしっかりとポイントは押さえていたなと実感しました。試験受けた後に講義資料を読むと、「あ、ここやっぱり出た」って思いましたし、講師が解説していた問題が多く出題されており、とても感謝しています。

今後の研修について、あったほうがよかったポイントはありますか?

福永 様:過去問が公開されていない試験なので、もっとたくさんの例題・練習問題の提供があったら更に良かったです。これがあると、試験前の不安もかなり軽減される筈なので、よかったら検討してください。そこが講座の競争力になったり、我々のモチベーションにもなったりすると思います。
 
 
山近 様:深層学習講座の所々で小さな問題や課題を入れても良いかなと思いました。それがあると、どこまで自分は理解していてどこが弱いからもっと勉強しなくてはならないなど個々に感じられる部分もあると思うので。

最後に、これからE資格を受験する方にメッセージ

山近 様:たくさんの本を読み終わることが目的ではないと思いますし、E資格を取ることもゴールではなく、その先の実務に活かせるかが大事だと考えています。E資格に合格するだけであれば今回の研修で十分合格を狙えます。

実務に向けた一つの中間到達点をE資格合格に置くことは、色んな知識が網羅的に蓄積されていきますし、資格取得と同時により深く学ぶことができるという二つのメリットを同時に享受することができます。特に今回受けた研修だと今後の実務で、こういうデータだとあのアプローチが効きそうだとかパッと分かるようになりました。

また、 E資格を目指すことで、ディープラーニングだけでなく、数学や機械学習からしっかり学ぶことができます。一方で、数学・機械学習を十分に理解しないで深層学習から勉強する人は深層学習も深く理解することができず、結果として、深層学習の精度向上など最後のところで対処できないことも多いはずです。今後受験される方にはこの点も意識して、勉強されると良いなと思いました。

※2019年12月に伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様の研修を実施・終了しました。